2025年10月23日(木)、神戸市機械金属工業会様にてTOC研修を開催しました。
 今回で3回目の開催となり、7社27名の皆さまにご参加いただきました。
 経営者や幹部の方から製造現場のスタッフ、さらには内定者の方まで、幅広い層の皆さまが集まり、まさに「現場のリアル」と「経営の視点」が交差する熱い一日となりました。
神戸市機械金属工業会の目的 ※HPより
本会は、神戸市およびその周辺における中小機械金属工業の振興と発展に資するため、これら関係者の連絡を図り、地域社会に貢献するとともに、会員の緊密な結合により、技術的、経済的地位の向上を図ることを目的とする。
https://www.kobekk.or.jp/info/
TOC研修とは?
TOC(Theory of Constraints/制約理論)は、イスラエルの物理学者エリヤフ・ゴールドラット博士が提唱した理論で、企業や組織の「全体の成果は、最も弱い部分=ボトルネックによって決まる」という考え方をベースにしています。
この研修では、ゲームとワークを通じて、制約の特定と改善プロセスを体感的に学びます。
漫画版『ザ・ゴール』を読んだことのある方は、その世界を実際の現場で感じていただけたと思います。
ダイスゲームでボトルネックを体感
サイコロとチップを使って生産ラインを模した「ダイスゲーム」では、ボトルネック(制約条件)がスループット(利益)を左右する仕組みを体験。
部分最適が全体を悪化させるメカニズムや、努力の方向がズレると成果につながらないことを、笑いと驚きの中で実感していただきました。

業務フロー作成で自社のボトルネックを発見
ゲームを通じてTOCの基本を理解したあとは、付箋を使って自社の業務フローを可視化。
「どこに時間がかかっているのか」「どの工程が全体を止めているのか」を洗い出し、リアルな現場改善の第一歩へ。
お互いの業務フローを見比べながらの意見交換では、「他社の課題が、自社の鏡のように見える」との声も多く、気づきの連鎖が起きていました。

UDEとDEのワークで構造的に考える
後半では、UDE(望ましくない現象)とDE(望ましい結果)を付箋で整理するワークを実施。
「なぜこの問題が起きているのか」「どんな状態を目指すのか」をチームで深掘りし、課題の本質に迫る時間となりました。
現場で起きている問題を“構造”で捉えるこの手法は、多くの参加者の頭の中に新たな整理の軸を生んでいました。

実践者からのリアルな声
今回は、楯菱電産様に事例発表をしていただきました。
MG研修とTOC研修を始めた3年前からの歩みを、実例を交えて丁寧にお話しくださり、「継続することの力」を改めて感じさせていただきました。

また、カルモ鋳工の高橋社長にも急遽ご登壇いただき、「まずは共通の認識を持つための物差しを明らかにしよう」と熱いメッセージを発信。
経営と現場の意識をつなぐ視点に、参加者の皆さんが深くうなずいていたのが印象的でした。

講師・原のひとこと
私は製造業の専門家ではありません。だからこそ、どんな業界にも通じる“人の心理”と“全体の流れ”をシンプルに見つめることができます。
わからないからこそ、素直に「なぜ?」を投げかけられる。その質問が、気づきのきっかけになることもあるんです。
今回も、皆さんの本気に刺激をもらいながら、とても濃い学びの時間となりました。
この研修が、神戸の機械金属業界を支える皆さんの現場改善と、未来への一歩につながることを願っています。

